List 
卒業式
れつだん: 創芸戦参考作
 桜が散っていく。そしてそれは僕たちが高校三年生ではなくなるということを意味している。校長の長ったるい挨拶とか、卒業証書授与だとか、そういったつまらないことに時間を費やしている意味がない。僕とこの高校三年間で唯一できた友人Sを呼び出して、なんやかやとやっている卒業式を抜け出し、体育館の裏へと行った。Sに煙草を一本恵んでやり、僕も一本吸っていると、少しばかりイレギュラーなことが起きた。ヤンキー集団のお出ましだ。ヤンキー集団は僕たちを一瞥し、特に害がないと判断したのか、アンパンやら大麻やらヘロインやらコカインやらバッテンやらでラリってる。なんでもありなのかよこの高校とは! と思ったが、テストもなく面接だけで入学が決まってしまう高校であり、数学の時間に九九から始める高校であり、英語の時間にローマ字がわからないという高校であり、パソコンの授業では電源のつけ方がわからぬ者、消し方がわからぬ者、しまいめにはマウスの動かし方がわからぬ者がいる高校。つまりなんでもありの高校というわけだ。
 別に対した思い出もないし、感傷的になるイベントごとも一つもないし、強いていえば三年間喫煙と飲酒と無免許運転がばれなくてすんだな、と、自分自身もこの高校に染まっているのを感じた。
 そして僕が一本吸い終わり地面に落として靴底でもみ消していると、Sは何かを凝視しあわてて煙草を消しにかかっている。なんだろうとSの目線の先へと……ラリったヤンキー集団が僕たちを明らかに、明らかに狙っている。財布の中には小遣いを貰ったばかりの三万円。これは死守しないと、就職活動で落ちまくり卒業式になっても就職先が決まらない僕にとってはかなりの大金となる。Sは就職先は決まっているので別にどうでもいい。五万持っていようが十万持っていようが、関係ない。
 僕はゆっくりと後ずさりしながらヤンキー集団と離れていく。それと同じくしてラリったヤンキー集団は僕らへと近づいてくる。Sは二本目の煙草に火をつけて言った。
「やるしかないんじゃないの?」
 僕は少し考える。と同時に後ろ手で財布から三万抜き取り足首をいじるフリをしながら靴へと金を隠す。
「よーし」と言いながら僕も二本目の煙草に火をつけた。相手は五人。負けてもいい――というか確実に負けるのだが――この燃え盛る煙草を誰かの皮膚に押し付ければ僕の勝ちだ――
2014/02/28 (金) 01:50 公開
■ 作者<HBVyi0pw> からのメッセージ
作者からのメッセージはありません。
この作品の著作権は作者にあります。無断転載は著作権法の違反となるのでお止め下さい。
   
現在のPOINT [ 30 ]  平均値 [ 6 ]  ★★  投票数 [ 5 ]
 
内訳: 最高 [ 1 ]  好感 [ 0 ]  普通 [ 4 ]  微妙 [ 0 ]  最悪 [ 0 ]
感想・批評
最初は「おっ」となりましたが・・・。結局何が書きたいんだろう?どんなお話が描きたかったんでしょうか?
5:  普通 4点 <FKAkDuA2>  2016/02/15 (月) 20:36
つまらなすぎる。ある意味、つまらなすぎて10点。もう少し読みやすく書かないと、話にならない。
4:  最高 10点 <JgRtlZRs>  2014/04/06 (日) 17:23
なんかこう、まとまってるわりに
美味しい中身がないというか。
高校生の学校に対する白けた感情があまり伝わってこなかったからかもしれない。
三年間所属し、卒業するのは学生同士のルールが適用される社会だ、先生が作る学校ではなく。
というのが話の中身かと思うのが。
3:  普通 6点 <Av6Ppe9A>  2014/03/03 (月) 20:15
出だしでちょっと躓いた。自分だけかな。「そして」を乱用するなって昔国語の教師から教えられたからかも。「散っていく桜は僕たちが高校三年生ではなくなることを意味している」とどっちが引きいいかな。
言い回しは微妙だったけどこのくらいのワンシーンを思いついてさっと書くというのはできるようでなかなか難しいもんだと思います。
最後の一文は光ってました。
2:  普通 4点 <gDf4wtHw>  2014/03/03 (月) 09:17
オチツケ
うむ。だん先生としては、明らかなステレオタイプの青春群像を書きあげましたね。
いつだったか、『低所得者には喫煙率が高い』とかの創作がありましたが、
あれは、おもわず膝を打ったのですよ。ワタクシは……

主人公、『僕』の心情としては、迫りくる敵に立ち向かう。という行為が、みずから置かれた状況への鼓舞であり、それがこの高校で費やしたことへの
総括でもあったのでしょう。

そのおもいといったものが、最後の一行、
『この燃え盛る煙草を誰かの皮膚に押し付ければ僕の勝ちだ』
という、ささやかなるキモチの強さにあらわれているようにおもえました。

でも、惜しむらくは荒れた高校の描写に紙枚を費やし、『僕』のステレオタイプの
うけとめかたの先にあるもの、がおざなりになった。
もっと、もうれつに、ぎとぎとに書いてほしかったなぁ。(この高校女子はいないの)
……というのが正直な感想です。
1:  普通 6点 <QYRl3pdV>  2014/02/28 (金) 12:11
覆面ジャッジ
■ 感想・批評 (改行有効)

名前
■ 採点    (採点はひとり1回まで。2回目以降の採点や作者の採点は集計されません)
  
    List 

[ 作品の編集・削除 ]