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踊るあの子はコン 第六話
オオバ: ギターって難しいね。
 この辺りにはホテルが何軒もあるらしい。僕が連れて行かれたところは汚らしいところ。ムードとか、まったく感じられない。まあおじさんとムードある時を過ごしたいとは思わないけれど。しかしそれにしても精子便所と呼んでもいいぐらい、コンクリート剥き出しの壁。鷹島さんは窓口で鍵を借りて塗装の剥げた階段をあがる。その先は殺風景な風景に扉が並んでいる。高島さんは二〇三号室を開錠した。
 中は簡単にベッドとシャワー室が狭くあるだけだ。なんともみずほらしい部屋。この部屋で後ろの処女を奪われるのだ。哀れな末路。僕は自嘲気味に口を歪ませる。
 鷹島さんが僕の服に手をかけた。「さあ、ぬぎぬぎしましょうねー」笑いながら彼は言う。僕の中でプライドがガラスが地面に落ちたように、音を立てて割れた。一枚、一枚、脱がされる。鷹島さんの好奇な目がさらに輝く。これが変態なんだ、と僕は思った。最後の下着が床に落ちる。鷹島さんが僕の男の先を人差し指ではじき、「これが大きくなったら、どんなに凶暴になるんでしょうねー」と、子供をあやす声で言う。僕は力なく笑うだけだった。
 鷹島さんも全裸になると、彼に背中を押されシャワー室に入った。鈍く光る白タイル囲まれた壁の上のほうにシャワーの噴水口が取り付けられている。鷹島さんは栓をひねった。温かい水が飛び出す。「さあもっと近づいて」僕は鷹島さんの言うとおりにする。彼は両手を僕にあて身体の形を確かめるように執拗に触る。いやらしい手つきも、それが男のものだと気持ち悪いだけだ。僕は舞姫に触られているのだと思い込むことにした。そうすれば、これからのことも我慢できる気がした。ああ、舞姫が僕の陰部を触る。彼女はとてもエッチなんだ。
「馬鹿だね」
 突然舞姫の声がした。こんな時に、幻聴か!? いや慌てるな、取り乱すな。ここでそれを外に出すと全てが終わる。舞姫の作戦なんだ。仕事の斡旋をしてもらうんだ。そう、彼女は僕のことが好きなんだ。
「馬鹿だね」
 そう、僕は馬鹿だ。でもそんな僕が好きなんだろ?
「馬鹿だね」
 壊れたプレイヤーのように繰り返される声。駄目だ。これにイライラしては。外に出せば全て壊れる。
「どうしたんだい?」
 鷹島さんは僕の顔を覗き込む。まさか幻聴が聞こえるとは言えない。
「緊張しているんです」
 鷹島さんはそうかそうかと微笑を浮かべ、彼の舌が僕の口の中に侵入する。粘り気のあるざらざらとした舌。僕は鷹島さんと絡み合う。プライドは古い井戸の中に捨てたのだ。
 鷹島さんは僕をベッドの上に寝かせた。僕の乳首に彼の舌が絡まる。僕はだんだんその先が硬くなるのを感じた。鷹島さんは歪んだ笑みを浮かべ僕の口内に舌を這わせる。まだ知り合ってまもないのにディープキス。僕は気が変になりそうだった。だから僕は目をつぶる。これは舞姫の感触だと思い込む。鷹島さんは舌を絡めるのをやめると僕の陰部を包み込むように咥えた。舌が僕の剥けている先を執拗に撫でる。むくむくと大きくなるのを感じた。ああ舞姫、僕のが大きくなる。喜んでくれるかい?
「馬鹿だね」
 舞姫の声で責められてもその声には不思議と包容力を感じた。まるで僕を許すかのように、あきれるような、馬鹿だね。その時僕は彼女の幻聴が心から欲しいと思った。彼女の人格を僕の頭の中に取り込み彼女と一体化するのだ。君は僕の庭のかごの中でさえずる小鳥だ。僕にその声を聞かせておくれ。
 僕の男のそれが大きくなると鷹島さんは機械のように上下して圧迫する彼の唇が擦れる。膨張に合わせ、鷹島さんの動きが激しくなる。僕が「出る、出ます!」と叫ぶと、鷹島さんは手コキに変わり、僕の先から白い液体が噴水のように勢いよく飛び出した。僕はある満足感に浸り、ぐったりしていた。
「次は俺が気持ちよくなる番だね」
 と、言うと半分勃起しているそれを前につきだした。
「さあ俺がやったことをやってちょうだいよ」
 僕は意をけっして鷹島さんのものを咥えた。表面はやわらかいけど芯のあるそれを上下に擦る。
「もっと、もっと舌を使ってちょうだいよ」
 僕は舌を動かした。なにか鷹島さんのカスがつくのではないかと嫌だったが、それ以上のことを思うまいと思考を停止させる。無心に精子マッサージ機になった。途中、鷹島さんがそこまででいいよと、僕を止めた。
「四つん這いになって」
 彼が言った。ついにケツの穴に入れられるのだ。僕は男が四つん這いになる恥ずかしさもあったが、僕の小さな肛門に鷹島さんの太いそれが果たして入るのかと不安だった。僕はベッドに手と膝をつく。首を曲げ、鷹島さんを見ると、自分の先にジェルをつけていた。きっとそれで滑りをよくするのだろう。鷹島さんの先端が僕の穴に押し付けられる。亀頭が僕の中にめりこむのを感じた。次の瞬間、
「いたたたったたた」
 僕がわめいたので鷹島さんは中断した。
 彼は、自分の人差し指にジェルを塗ると僕の肛門ににゅぷっと入れた。僕は「あっ……」と思わず声を上げた。
「結構好きなんじゃないの? 肛門プレイ」
 鷹島さんは僕の反応を楽しむように言った。
 僕はこれが舞姫だったらいいのに、と思った。舞姫にこねくりまわされたい。

2014/04/18 (金) 23:28 公開
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