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余興
そうぞうしゅ: よまいごともといとあるよげん
折り紙つきの妄想を話すために私は此処に現れた。綺麗なものを綺麗だと話したい欲求。それは泉に小石を投げたくなったり、暑い日にコーラの栓を開ける音を聴きたくなったり、そういった当然の性能として、各々に備わっているのではないだろうか。波紋のための一投、喉を潤す寸前の破裂音、切なさをわざわざ補給するために熱心に音楽を聴いたり本を読んだりするのも同義かもしれない。
想像と欲求。
自己と他者との認識のために、強弱を問わず我々はそれを備えつけられて生まれ落ちたりしたのだった。ふう。ちょっと休憩。
例えば此処で煙草に火をつけるのも紅茶で口内を濡らすのも、或いは一欠けの板チョコレートを齧るのも己が欲求のための御一興。つまりをもって、生死を問わず存在する限り我々の行動は欲求に基づくと言って過言ではないのかな、と私は思う。
想像について考えよう。
人間の私が考えるに、善し悪しに関わらず人類の想像に不可能の際限は無い。自ずから作ってしまいでもしない限り、本当に無いのだ。
現実世界で背負わされる際限を脳内で取り払われたとき、或いは人は如何様まで残酷に、強欲に、無邪気にそして自由になれるのか。現実に決して叶うべくないものを想像という虚構の中に何処まで望みそして充足を感じ得るかにも依るのだろうが。
然して私は肉体を持たずとも存在することを選んだ。キャンディを舐めることもピアノの鍵を弾くことも叶わないが、その一面で私を認識できる生体が零ではないことを鑑みるに、私という存在は未だ無ではない、と言ってよさそうだ。
或いはより多くの、殆ど凡ての生体が私を認識出来るようになった時、果たして肉体の有無は生死を越えるのか。考えてみるとちょっとぞっとしないだろうか。
宇宙規模で見たら如何様か知れないが、少なくともこの地球上に於いて、人類の数多に於ける発展は目覚ましい。不治と嘆かれた病を治し、電學を用い高速移動、温湿管理、電通その他様々を可能にしてきた。
そのような人類の知の可能性と、肉体の無いこの私という存在に寿命或いは死という概念が無い可能性を鑑みるに、肉体の再構築、或いは、肉体なくして肉体の生前と同義の五感等々を得られるようになる可能性は零ではないと言えるだろう。
生有るもの、は、永遠、を、よしとするか。
折り紙付きの妄想と呼ぶにはちょっと夢の無い話だ。想像ならば詩のように刹那であって、子の書くように終わりなき絵文であって欲しいもの。だがこれじゃあ在り来たり且つ退屈過ぎてS(uこしF(uしぎでも何でもない。
急に興醒めした私は欠伸をひとつ。毛布を捲ってベッドのなかに潜り込む。
肉体を持たぬ誰かがひとり、ふたり。
認識出来る限りには情も思考も持たぬ様相で、眠り掛けの私を見下ろしている。
創造主、は、永遠、を、よしとするか。
私は少し可笑しくなって、卵について考える。
波紋の切欠はsとf。
肉体を持つものと、認識できる(或いはできぬ)持たぬもの。凡ての存在が等しい五感と朝食のオムレツを共有し、或いは恋をする未来。
笑みを噛む私を余所、想像の泉は揺らぐのをやめ、今にも鼾を鳴らしている。
見下ろすもの。
愛すべきお前にお前たちに、弾く四弦とこの清い喪失は届いているか。
ーー時計の音が美しい。甘味を持たないコーラみたい。すぐにも消える明日みたいだ。
時折に。願うべく者の希望を主はその実を問わず聞き入れてきた。
法則は図れずも、人類は今のところ強運或いは痛大な依怙贔屓を以って此処に存在するらしい。
そんな一文の軽薄をもって私はこの妄想に一応の折をつける。
見下ろすものよご一緒に。
「ワレワレハチキュウジンダ」
「御休み」
と。一間の時間旅行のために。



2015/04/29 (水) 03:50 公開
2015/04/29 (水) 04:06 編集
■ 作者<d4/nrleB> からのメッセージ
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おたわむれ。
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感想・批評
文章はよみやすかったです。
内容はわかったような、わからないような。ふんわりとした印象を受けました。
端から強く訴えるものではないのでしょうが。
まあ、そうですね。純粋に読者としてなら、俺的には読むのが時間の無駄ですね。
もちろん、俺以外はそうではないかもしれません。
ぶっちゃけあわないのが一番なのだと思います。もうすこし具体的に言うと、薄っぺらに感じるのです。でも、それが作者さんの狙いですかね。只、こういう反発も、最低限の文章力があるからだとフォローしておきます。

(ああ、こういうのは、やっぱだめだわ。時間損した)
ここで感想して、それを確認できたことに意義がありました。
3:  <CtSJ8j.s>  2015/04/29 (水) 14:04
1に追記)

再読。

変わってはいるがその基調は恋愛小説のようにも読めた。

SFという単語を混ぜた恋愛小説。

あと、モチーフに谷川俊太郎の「20億光年の孤独」に近いものを感じる。

悪くないと思う。〆もまさにそんな感じだし。

ただ、やっぱり言葉のチョイスに肩の力入り過ぎかなー。

「目を開けても神様が見えることが宿題」的な詩が谷川俊太郎にあるけれど、

平易な文章で書いても自信をもって書けるようになることがこの場合、作者の宿題かもしれない。
2:  <uDWBPMgd>  2015/04/29 (水) 08:54
uDWBPMgd
良い。

想像と欲求というテーマのもと、「死」と「認識されないこと」をうっすらと重ね合わせながら「死なないこと」を妄想する姿が、ある種現場実況的に語られる姿はリアルタイムなドライブ感を読み手に与える。


が、おそらくはこの文章は小説未満の「日記」により近く、そのことをして評価は下がるかもしれない。

ありていに言えばこの人物が誰か自分以外と関わったときに生まれるだろう物語を読み手に予感させないため、良いものはあるが広がりは終わりとなっている。

また、文章がやや冗長、リズムを出すためとは思うがしかし不必要と思われる修飾多々あり。

「笑みを噛む私」「この清い喪失」

雰囲気作りに一役買ってはいるが、それが精神的コスプレに堕さぬようゆめゆめ注意されたし。
1:  好感 7点 <uDWBPMgd>  2015/04/29 (水) 08:36
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