予め許されたるアリの穴となむ元愛人よ

嗚呼哀れなるべし、アリの穴となむ先の恋人よ、
君は須臾の狭間に消えたり、君を愛した男は皆、無名の狭間に消えたり、
曰く罧原氏、わたつみ氏、小泉氏、ＭＪ氏、作者Ａ氏、
幾許は名を成したりと云えど、そは如何ほどの者なるべし、
何れは時の狭間に消え往くことは明白なりき。
曰く杉井氏、藤田氏、朝倉氏、工藤氏、白石氏、
何れも亦広漠たる時の流れに於いては空しき者なりき。
彼らの名世子諸々の善行、醜行、皆全て君呑み込みて、滔々と流れたる川なりき。
嗚呼恋人よ、君を哭す、君はまったき空ろなりき、
君は恋人にして母なりき。君を愛する者独りならず。
君に唯我等恋人共は言葉を書き往くのみなれど、ただ其れ故に君を恋執したりき。

人皆書き込みたりき、君に一時の偸安を求めて、落選作をのせんとして、君に競作の場を求めて、
一時は競作場として君を拒むものありけれど、
愚かしき競作場の主催者に衆目皆呆れ、再び君の胸元に飛び込みたりき。
競作場その後は寂れたりしとぞ。げに阿呆らしきことなりき。
君は競作場として、創作文芸板住人普く恋人として君臨したりき。

アリの穴なるサイトが存在せしと云う証拠を持つ物も、先ずいかばかり遺れりや。
インターネットの時の流れはかくばかり速く、君の思い出を持つ物もまた少なくなりたり。
されど、君に書き入れしものは皆君の恋人なりき。
君を心より恋慕したる者なりき、君の存在を空気と同じものなりと認めたる者共なりき。
されど君、全てを置いて去りぬ、君逝きぬ永遠の静寂に、如何ほどの者が君の復活を望めりや。　
されど其れは叶わず、君は応えず、かくも我等は見捨てられたる永遠の恋慕者たり。
今の文芸部は君の賢妹にして、
見目麗しき恋人なり、文章変更の改変の自由も、素直に許す、良妻賢母たる資格者なり。
されど我は君アリの穴の素気なさを愛惜するものなりき。
君一度書き込めば其を変えたる事を許さざるなり。
拙き文を晒され、笑いものにさるる思いにもなりき。
されで今になりて顧みれば、其れも亦素晴らしき思い出なりき。
君の痘痕は靨なりき、君の欠陥全てが我の愛する物なり。
下品にて読むに堪えぬ文章多し、しかし其れも亦君の長所となりて今は思いうかばるる。
君は素気なき恋人なり、君は恋人を滅ぼす悪しき女なりき。
されど亦君生きて後、其れも空しきものとなりぬ。
君は作家でごはん、作家でなろうよりも遥かに劣れる醜女なりき、
されど今となりては君のない創作活動は考えられぬものなり。
君は我の青春なりき、アリの穴永遠に逝く、かかる文は其の鎮魂のために草したるものなりき。
アリの穴を青春と思う諸人皆、君の後を忍んで泣きけり。