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Youtubeサーファー
 
自慰さんは自宅にいると、いつも安酒をあおりながらYoutubeを見ていた。
Youtubeの魔力で関連動画が再生されるとそれも見る。
安酒が一瓶なくなるまで、それを続けていた。
安酒につまみだけでまともなご飯も食べていなかった。
当然、健康診断の各種、値は悪かった。
自慰さんは医者がなにも生活指導をしてこないと言っていた。
そりゃ、かかりつけ医でもないところで健康診断をしてもなにも言ってこないのが普通だ。
誰が自慰さんの生活を把握していると言うのだ?
食生活も飲酒量も知らずに生活指導を軽々しくする医者はいない。
閑話休題。
自慰さんは朝、起きて、仕事へ行く前もYoutubeを見ていた。
そして、家に帰ってくると即、Youtube。
YoutubeいやAlphabetにとっては格好の情弱のかもだった。
無論、Youtube Premiumなど加入していない。
自慰さんがYoutubeを見れば見るほど、Alphabetには広告収入が入る。
自慰さんは意識していなかっただろうが、Alphabetのビッグデータは自慰さんの嗜好を額種してYoutube漬けにしていた。
自慰さんはバンドをやっていた。
ある日、スタジオに入った。その日は、かつて腕をならしたドラマーがいた。
自慰さんはYoutubeを見ながら、自分のギターやPAを調整していた。
椅子に座り、Youtubeを見ながら、その動画の演奏に合わせて練習をしていた、その時。
ドラマーが言った。
「自慰さん。あんたは下手でないよ」
爺さんはなにを言うかと顔をして、そのまま練習した。
ドラマーはYoutubeを再生していたスマホを取り上げて、言葉を放った。
「ひとつ、聴くならヘッドホンをしてくれ。俺の調整の邪魔になる。ふたつ、俺は誰かのコピーを要求した覚えはない。俺のドラムにあわせてくれるギタリストとしかやる気はない」
爺さんは激昂した。
「なにを言うのか俺のバンドだぜ」
ドラマーはあきれかえった。
「なら、ひどいボーカルをどうにかして、ベースも入れてくれ。これがちゃんとしたバンドか?中学生の軽音部以下だぜ」
自慰さんは反論した。
「俺のバンドだ。言うことを聞かないなら去れ」
ドラマーは本当にそうした。
「じゃあ、俺は帰るよ。スタジオ代は払っておくからな。俺もナマポとスタジオ代を割り勘するのは気持ちが悪かった」

自慰さんは、御茶ノ水の楽器店へギターを見に行った。
好みのギターがあったので、店員に商品を取ってもらい、楽譜代にスマホをおいてYoutubeを見ながら、試奏をはじめた。
店員がかけよってきた。
「お客さん、申し訳ないですが、せめてヘッドホンかイヤホンをしてください。お客様と音楽の趣味がみな同じというわけでもないので」
「俺は持っていない」
「それなら、申し訳ないですが、ご退店を願います」
自慰さんは激昂した。
「そこにヘッドホンがあるだろ。あれを買えば文句はないだろ」
店員はヘッドホンを持ってきった。
「お支払いをお願いいたします」
爺さんはまたもや激昂した。
「そんなもの後でいいだろ」
「申し訳ございません。一度、商品を開封されるとそういうわけにもいかないので」
自慰さんはしかたがなく、財布からお札を出し、支払いをした。
ただ、店員はたしかに試奏を続けさせてくれたが、自慰さんは納得していっていなかった。
俺の自由を奪うような店でギターを買うことはないし、帰るか。
自慰さんは、ギターをそのままにして、楽器店を後にした。

ある日、自慰さんは、その話を仕事の休憩中に職場の若手にした。
若手と言ってもバブル世代の50代後半の独身オヤヂだったが。
「自慰さん、武勇伝すげえっすね」
「俺はさ、ライブハウスへの出演オファーもあったんだよ」
「ますます、すげえっすね。ところで自慰さんの動画はYoutubeでどういう検索をすれば見られますか?」
自慰さんはあぜんとした。
「いや、そんなものはない」
若手は当惑した。
「いや、今どき、それだけの腕があって、動画をアップしないとかありえないんですが」
今度は自慰さんが当惑した。
「なんでだ?」
「時代ですよ。今どき、ちょっとダンスがうまいガキがTikTokに動画をアップする時代っす。自慰さんも当然かと……」
「なんで、当然だ」
若手はめんどくさくなり。
「仕事に戻りますから」と言い去っていった。

自慰さんは一人で場末の居酒屋で刺し身を食いながら酒を飲むのが贅沢だった。
いつもの駅前の居酒屋へ入り、大将のおまかせにして、刺し身を食べながら、酒を飲んでいた。
大将も忙しく会話もできないので、スマホを取り出し、楽器屋で買ったヘッドホンをして、Youtubeを見ながら、酒を飲みだした。
三十分ぐらい経った頃、いきなり大将のヘッドを外された。
大将は激怒していた。
「とりあえず、あんた店を出ていってくれ。勘定はいらねぇ。俺が飲ましたのが間違っていた」
自慰さんはなにを言っているかわからず反論した。
「俺の自由だろ。なにをしやがる」
「最近は飲んでいる時にビデオ会議が突然、入るお客さもいるから、それは俺もしかたがなく許していた。だけど、あんたが見ていたのはポルノじゃねぇか。場末には場末のルールがあるんだ。あんたは場末のルールすら守れねぇのか。そこまで、うちは落ちぶれちゃいねぇ」
2020/12/06 (日) 01:21 公開
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感想・批評
もうちょっと真面目に書いてください(笑
1:  <l4U416W6>  2020/12/10 (木) 23:24
ひやとい
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