俺の愛車はダイハツ・ミラ。
それも年代物の550ccで、それもターボだぜ！
それもドッカン・ターボで低速はすかすか。
2ストの原付きバイクに抜かれるぜー！
だが、ボディはもうがたがたでコンビニの駐車場に入れる段差でボディがよじれる。
ドリフトができるってか、タイヤがつるつるでグリップがない。
とは言え、商業高校の先輩にただでもらった車だから金をかける気もない。
その先輩も先輩にもらったらしくて、さらに先輩も先輩にもらったヤリマンではないが、結果的にヤリマンになった、捨てられ続けた女のような車だった。
友達にはミラではなくマラと呼ばれる。
とは言え、俺の給料では自動車ローンを払えないのでこれに乗り続けるしかない。
なにせ、ソープに通い続け、温泉に行ったと自慢するのは金がかかる。
たまに現場の同僚の原付きスクーターのトゥディに抜かされる始末だ。
トゥディに乗っている後輩は後輩でなぜかいつものり弁で金がないようだ。
現場の作業着も俺たち職人は自前だが、後輩はいつもぼろぼろだ。
職人と書いたが、俺たちは養生工だから、厳密には職人ではない。
本当の職人の電気工事士や左官はギャラもよくて、だいたいSUVかミニバンに乗っている。
職人は個人事業主で自動車も経費扱いできる。
ところで商業高校なのに、なぜ職人かって？
自慢ではないが簿記三級に何度チャレンジしても合格しなかった。
どうしても仕訳ができなかった。
それで経理職に就けず、先輩に頼って、建築現場の養生工になった。
絶望？していないぜ。未来は輝いているぜ！

■ 作者<eR3ff6.W> からのメッセージ
作者からのメッセージはありません。