サクラサク |
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押利鰤鰤 ◆JpNEI8uxLg |
「サクラサク 桜咲くのは 他人の庭」 職場で桜がようやく私が暮らす町でも咲いたと言うニュースをネットで見た。 そして、思わず一句。 北国である我が町は、年によってはゴールデンウィークが終わってもまだ桜が咲いていないと言う事もあると言う事を考えて見れば、今年は早いほうであると言えるだろう。 「なんですか、それ?それじゃあ、桜が山田さんの廻りで咲かないのは、まるで自分が悪くないみたいじゃないですか。言っておきますけど、あなたがいま置かれている状況は、全て自分が蒔いたタネによるものなんですからね」 後輩の五所川原さんはなかなか辛辣である。 歳が二十も違うのに、厳しい言葉を頂けるありがたいお嬢さんであった。 「いいかい、五所川原さん?俺がタネを蒔くと、その後ろからカラスやハトが付いてきて、蒔いたばかりのタネを片っ端から突いていくような男だよ?俺の後ろには荒野しか残らないのさ」 「傾向と対策です。何も考えないでバラ蒔くからそうなるんですよ。普通はそれに対しての対策を立てるものなんです」 凄く正論を言う。 「そりゃあ、確かに正論かも知れないけども、私はナチュラリストなんだよ。あるがままに底にあるというスタンスを大事にしたいと思うんだ」 「底にあってどうするんですか。とりあえず、そんな事は結果を出してから言って下さい。努力して下さい」 「努力して、高校球児がみんなプロ野球選手になれるわけじゃないだろう?作家を目指している奴が、みんな作家になれるわけじゃない。そんな人たちを五所川原さんは努力をしていないと一蹴するのかい?」 「山田さんはしていないでしょうッて言う話です。あぁ言えばこう言わないの!!お子ちゃまですか」 かっては、こんなやり取りも、笑って流してくれた五所川原さんも、もう三年も同じ職場で働いていると、冗談が通じ無くなって来ていた。 どうやら哀しい事にウザイオッサンと言う認識で固まったようである。 ぼくごちゃい、そんな事を言ってしまえばさすがにグーでパンチをもらいそうなので、私はとりあえずおとなしくする事にしたのである。 |
2014/05/05 (月) 02:33 公開 2014/05/05 (月) 02:39 編集 |
作者メッセージ
buriburi |
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