鰤鰤タイム 2014/05/15 |
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押利鰤鰤 ◆r5ODVSk.7M |
■スマホ 手が滑ったしまって、スマホをアスファルトの上に落としてしまった。 乾いたいい音がして拾い上げてみると、画面にヒビが入っていた。 標示自体は真っ暗で、電源は入っていても何も映る事はない。 仕方ないので、保証を使って取り替えてきた。 修理しますか、保証使いますか、機種交換しますかと聞かれたのだけれども、結局は保証を使った。 あと2ヶ月で分割が終わるので、機種交換という手も普通の人ならあるのだろうけど、色々あってそれは無理なので選択肢にはなかった。 また一から使い方を覚えるというのも面倒であり、もともとほとんどの機能を使いこなせていないのだから」、新しい機種にそれほど執着もない。 同じ機種だが、OSのバージョンアップによるものかはわからないけど、操作が微妙に変わっている。 文字入力はキーボードでローマ字入力にしたいのだが、ガラケー入力から切り替えられなかったり。 甥っ子もアルバイトをするようになってスマホを手に入れた。本当はもう少しアルバイトになれて、収入が安定してから買えと爺さんにはきつく言われていたのだが、iPhoneを入手。 身分証もないのにどうやって入手したのかと思えば、弟が名義人になっているのかも知れないが、支払いは甥っ子がしていくのだろうけど大丈夫かと思う。 そんなわけで甥っ子とラインで繋がろうと家に帰ってから声をかけると、中国人とトークでアニメについて盛り上がっていた。 俺より友交関係広いな。 ■健康診断 今年も会社で健康診断。 40歳以上なので検便の容器を事前に渡されていたので、二回採取。 いざ本番という事で、尿検査、体重、視力測定、血圧測定、問診、聴力検査、採血、心電図、胸部レントゲン撮影。 尿検査→問題なし 体重→去年より+4キロ 視力検査、0.8 0.9 血圧→高いので二回測定 問診→血圧高い 痩せろ お腹周りの肉を落とせ 月に一キロずつ秋までに落とせ。 聴力検査→問題なし その他→後日 血圧は、今年の初めにインフルエンザにかかり病院へ行った時に、初診という事で血圧を測ってみたら高かったので、引っかかるかなと思っていたら案の定。 「もう42だし、血圧計を買って、毎日計る習慣を付けなさい」と言われ…… 「もうね、ブクブクですよ。顔なんてパンパンじゃないですか。独身男性42歳として、どうなんですか。このまま老いていくんですかたった一人で。おひとりさまで」 高血圧と、ダイエットを早急に診察で進められたと言う事を、上司にして、後輩でもあるI君に伝えると、着々と私の通ってきた道を進んでいる自分の事を棚に上げてそう言った。 「人生は太く短くだ」 「そもそもあなたの人生は、短いかも知れませんが太くは決してないですから。それは自分でよく解っているでしょう。だいたいもう42ですよ。厄年ですよ。体も衰えて、いろいろな所にガタがくるお年頃です。どう考えたって、このまま逝けば脳梗塞か、糖尿病です。厄払いには行ったんですか?」 「役者というのはな、『役が付く』と言う事で、厄払いには行かないって、役所広司がそう言ってたから俺もいかなかったよ?」 「いつから役者だったんですか?てっきりただの印刷工だと思っていました」 「生まれた時からだ。人生という名の舞台で、俺という名の役を演じているのさ」 「喜劇で一人芝居ですね。観客すらいないと言う」 「カーテンコールは任せたよ」 「ただっ広い観客席にたった一人だなんてどんな拷問ですか」 「Let It Goの大合唱もあるよ」 「ねぇよ」 ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ 創作文芸板で1000文字小説というサイトを見つけたので、そこに投稿するために、以前アリの穴に投稿したものを短くしました。 ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ ■出発する二人 1000文字バージョン いままさに我が妻となる加代が、頭に水中メガネを乗せて紺色のスクール水着で立っていたのである。 足もとはサンダルで、腰の周りには浮き輪も忘れていなかった。 「……翔ちゃん、似合う?」 花嫁らしく微笑んで加代はそう言った。 「そこまでやったら、ここは白いスクール水着だろ!!」 俺は結婚式場において、新郎の衣装を着せられた所だった。 高校からの付き合いで、途中の何年かは加代がお笑い芸人を目指し大阪に旅立って行っていたので空白はあるものの、そろそろ仕方ないと言えば仕方ないのだが、俺の知らないところで式場を押さえたり、夜中の通販番組で結婚指輪を購入していたりして、それは人としてどうなのだろうと思う。 それを仕切っていたのは俺の母親だったりするのだから、加代にも強くは言えず、女手一つで俺を育ててくれた母親にも俺は何も言えない。 「馬子にも衣装って言うじゃない?可愛いわよ、加代ちゃん」 母はうっすらと目元に涙を浮かべて、旧スクール水着の花嫁にそう語りかけたのである。 「ありがとう、お義母さん」 加代も感激の為なのか、目が真っ赤に充血していた。 「馬子にも衣装は褒め言葉じゃねぇよ」 加代の両親はそんな娘をあまり見ない様にして、親戚への対応に精を出しているようであった。 「その格好で本当に披露宴にでるのか?一生に一度だぞ?」 「芸人として、この人生一世一代の大イベントに、笑いを追求せずにはいられないのだよ」 俺を巻き込むなと思ったが、大阪の大手芸能プロに所属しながら、地元ローカルのラジオやテレビでプチ活躍する加代には、重要な事なのかも知れない。 「出越智さま、そろそろ時間です」 会場の係の人にそう言われ、披露宴が始まるので親族は会場へと向かい、俺たちは少し遅れて案内され、閉められている会場のドアの前に立つ。 中から音楽が流れ始めた。 ただしそれは昔見た漫才番組で漫才師が登場する時に掛かり始める曲だ。 「いくよ、翔ちゃん!!」 この状態で普通に出て行った方がきっと痛々しいことになるだろう。 もはや覚悟を決めるだけである。 ドアが開いた瞬間、俺たちは勢いよく会場に走り込んだ。 「ドーモっ!!」 その瞬間、会場の深い絨毯にサンダルを引っかけた加代がつまずいて前のめりに倒れた。 そしてその状態のままで言う。 「出越智加代になりました!!」 「駄洒落かよ!?」 ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ ■すっぽかし 午前0時を回ったところで、スマホの通知音。 みるとフェイスブックのメッセンジャーに弟からメッセージ。 「正壱、仕事なのに来ていない。寝ているだろうから起こして連れてきてくれ。クビになるぞ」 たしか午前中に今日は休みだと甥っ子の正壱は言っていたのだけれども、勘違いなのかシフトが変わったのか解らないけれども、どうやら隣の部屋で寝ているのは間違いない。 と言うか、正壱にスマホを持たせたのは私の弟であり、引きこもっていた正壱を引っ張り出して自分の勤め先で働かせるようにしたのも弟である。 俺に連絡していないで、直接で正壱に連絡を取ればいいだろうと思う。 と思っても、やっと働き始めたというのに、ここでクビになってもあとが面倒なので、正壱を起こしに部屋に行く。 「正壱、起きろ。仕事だってさ。おいちゃんから連絡来ているぞ」 そう言いながら体を揺らし、頭を揺さぶり起こそうとするのだけど、全く目を開かない。熟睡しているようであった。 「仕事クビなるぞ、とりあえずバイト先に連絡入れろ」 そう言っても全く動かないのである。 よく見ると、指で耳の穴を塞いで寝ている。 しかも力強く。 「おまえ、目が覚めているだろう。そんな風に耳押さえて寝れる奴はいないって」 三十分ほど体を揺すったり、声をかけ続けたのだが、それでも目を開ける事はない。 その間にも弟からはメッセンジャーで、 「なんとかしてくれ」 と来るのだが、起きないものはどうしようもないのである。 仕方ないのでスマホの電源を落とし寝る事にした。 あっしには、関わりのねぇことですので。 よくあさ起きてからスマホの電源を入れてみると、放置された弟から大量のメッセージ。 「おまえおぼえてろよ こんどあったらなかすぞ」 その文章に兄は泣けてきた。 結局の所、もともと正壱は休みだったのだけど、他のアルバイトが急用で出られなくなったので、22時過ぎに正壱へ声がかかったとのことだったのだけど、23時には家を出なければならないのに、電話を切った後に寝てしまったそうで。 ■母の日 働くようになって、自分で自由に使えるお金を持つようになって二十数年の月日が流れている。 当然のように自分はそれだけ歳を重ねているわけで。 だけども、世間一般の同い年の人と比べれば、手にしていないものが多いと思う。 もちろんそれらほとんどの原因は自分自身にあるわけで、それを今さら嘆いたところでどうにかなるわけでもなく、どうにしたいと思っているわけでもないのだけれども。 まぁ、平均以下であるという自覚は持っているつもりだ。 特別何かあったわけでもなく、これという思いがあるというわけでもないのだけれども、自分は母の日に、母親へ何かを贈ったという記憶がない。 と言うか、何も贈っていないと言う記憶しかない。 これは父の日も、勤労感謝の日も同じ事なのだけれども、テレビや何かでその日のイベントを特集したりしているのを観たとしても、何かを贈ろうなどとは思わなかった。 母の日や、父の日というものは、日頃の感謝を伝える日だったと思うのだけど、感謝する事に思い当たる事がないからだ。 確かに産んでもらった恩であるとか、育ててもらった恩であるとか、そう言う事を強調する表現があるのだけど、それって最低限度の親としての責任であろうと思う。 もちろん、そんな最低限度の責任を果たせない親が数多くいるという事は、報道やら、ウチの姉ちゃんとかで知っているつもりなのだけど、やっぱりそれは基本原則として最低ラインの基準であると思う。 できないならば、親になるなと。 「だから見ろ。親にならない私の正当性を」 「そんなのを詭弁と言うんですよ。ならないとなれないのでは意味合いが違いますから」 そんな事を言いながらも、自分も親になるなんて考えられませんけどねと、上司にして、後輩でもあるI君はそう言った。 「それはそれとして置いておいて。可哀想じゃないか、貧乏人の子は貧乏人しかなれないんだぜ?中学出たら働けなんてそんな酷い事は言えないよ」 「頑張れよ。まぁ、頑張った所で報われる事はないと10年も働いていればわかってくるんですけどね」 「I君なんてまだいいさ。営業のN君なんて、今年で36だけど、手取で15万越えてないんだぞ。毎日深夜0時を越えて働いて、休日も出勤してるのに。馬鹿じゃないかと思うよ。コンビニで同じ時間だけ働いた方が絶対に手取が多いもの。なんで、ここで働いているのって思うもの」 「Mさんは仕方ないんですよ。30になるまで就職した事無かったんですから。大学の経済学部出ているのに、経済のけの字も知らないし、興味もないんですからね。心の安らぎはお馬さんだけなんですから。休日出勤も馬券売り場に行くついでに出勤しているだけなんですから、本人は気にもしていませんよ」 「けどさ、ギャンブルで本命しか買わないって意味解らないよな。大穴狙いの一発勝負こそがギャンブルの醍醐味だろ?」 「それで、失敗した人に言われる筋合いの無いことですけどね」 「人生チョンチョンって言うじゃないか。終わりでプラスマイナスの辻褄が合っていればそれで良いって」 「明らかに下り坂ですけどね。底なし沼とも言いますけども」 「負の連鎖は俺らの代で止めねばなるまい」 「僕も含んでいるんですか?」 「もちろんだ。俺のこんな人生であるけども、今のI君と同じ歳であった頃の自分を思い出してみれば、もう少しマシだったと思うんだ」 「余計なお世話です」 「そんなのが親のせいだとは言わないけれど。そんなのが親のせいだとは言わないけれど。そんなのが親のせいだとは言わないけれど」 「なぜ三回言う。まぁ、三歩譲って、親のせいというものがあるとしましょうか。だけども、だからといって親の悪いところだけをまねなきゃいけない理由なんて無いんですよ。悪いところと気が付いているのならば、まねなきゃ良いだけのことなんですから」 「それができたら苦労はないし、今の自分はないだろう。時間というものは巻き戻すことはできないのさ」 「どうせ巻き戻したところで、同じ結末になるんでしょ」 |
2014/05/15 (木) 00:31 公開 |
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ぶりぶり |
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