物語の独白 |
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ミラ: 各行の字数を揃えるだけという単純な趣向。 |
気がついたときには、わたしはすでに読まれていた。 どうやらわたしは文字で書かれた物語であるらしい。 物語は始まったばかりのようで、わたしは安心した。 なぜなら物語の長さイコールわたしの寿命だからだ。 とはいえ長ければいいというものでも無いのである。 作者死亡のため未完で終わったりしては無念である。 やはり壮大なクライマックスを迎えて大団円が理想。 物語にとって読まれることは生きることそのものだ。 わたしは自分が面白い物語であることを願っている。 読者が途中で投げ出すようなら未完と同じだからだ。 どうやら読者はいったん読書を中断するようである。 彼が早く読書を再開することをわたしは願っている。 気がついたとき、わたしはまたすでに読まれていた。 読者はこの物語への興味を失ったわけではなかった。 読書以外にもやらなければならないことがあるのだ。 だから物語が長ければ長いほど、何度も中断される。 そのたびわたしは、再び読まれるまで存在を止める。 心もとないが、それが生きるということなのだろう。 ひとびとが眠るように、われら物語もまた眠るのだ。 そう考えると、物語と人間はよく似ていると言える。 読者の人生も、ひとつの物語といえるかも知れない。 それを読む読者のことを、ひとは神と呼ぶのだろう。 |
2022/10/17 (月) 23:07 公開 |
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感想・批評 |
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詩に見えました。
1:ひやとい <rZzpgA3N> 2023/02/12 (日) 00:42 |