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愛情
月子祭り参加作品
 月子は僕のすべてだった――

 僕は数年創作文芸板という掲示板で小説を発表していた。そんな中現れたのが月子だった。月子はプライベートは一切隠していた。コテを名乗るにはある程度のプライベートは提示しなければならない、という暗黙の了解があったのにも拘らず、だ。しかし人間というものは知りたがりであり、何とかして月子のデータを収集したい、という欲求があったのは僕だけじゃないだろう。
 僕は働いていなかった。というよりも働けなかった。精神病になってしまったのだ。そんな心の拠りどころが月子だった。いや、月子しかいなかった。コンビニに飯を買いに行くぐらいしか外に出ず、後はひたすらパソコンにしがみついていた僕に、月子という存在は、天使に見えた。付き合いたいなんて微塵にも思わなかった。天使のような月子と付き合うだなんて――。月子にレスをしてレスが返ってくるだけでテンションがあがった。
 しかし月子は僕の何よりも深い愛情を知ったか知らずか、何事もなくほかの人にも接していた。僕は嫌だった。僕だけを、僕だけを見てほしい。でもそんなこと言えるわけがなかった。月子はみんなのアイドルであるし、そんな月子を独占しようものなら、総すかんを食らうに決まっている。だから僕は作品で月子にアタックした。
 月子を題材とした作品はいくつ書いただろうか。そのサイトも消滅してしまったので、確認はできないのだが、これで僕の月子への愛情は伝わったと思った。だが、違った――。その作品群を書いていた時、月子は創作文芸板にいなかった。だから僕の作品群を見ていなかったのだ!
 僕の中にある愛情が憎悪に変わっていくのを感じた。あの女め、僕を弄びやがって! 月子への作品群だけで新人賞一本分の作品ぐらいの枚数になっていたのに!
 しかし、新しい彼女ができたら忘れた。今――これを書いている今、だ――も彼女がいるが、通っている作業所に美人が来たので乗り換えようと目論んでいる。だからもう月子はいらない。
2015/06/08 (月) 21:01 公開
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感想・批評
他の感想にもあるがキモイ。だけど、そんなろくでなしを上手くトレースできている
だけど、色々足りなくて投げっぱなし
8:  普通 4点 <aA.a6XhY>  2015/06/14 (日) 17:57
にょろ。
ストレートなタイトル。ストレートな内容。
そこからのラスト二行、「だからもう月子はいらない。」
清々しくてよかった。

変に凝ってもいないし読みやすく、すんなりと入っていける。
でも、そこで終わってるのかも。
いわゆる女子が称するところの、いい人止まり、みたいな。
フィクションにしろ、私小説にしろ、もう少し読み応えになりうる何かがあればよかった。
7:  普通 6点 <ZrDvVKDj>  2015/06/14 (日) 17:31
主人公の焦燥感というか、月子を求める切羽詰った感じが文章に上手く表現されているなと。
それを終盤にアッサリと覆して、彼の想いがフッとどこかに消える様も見事だった。

しかし月子のことは忘れた、いらないといいつつ、こんな作品を書いた主人公。
よく考えればやはりまだ月子に未練があるのかと、狂人の異質さを垣間見たようで寒気がした。
6:  好感 7点 <4opNSElu>  2015/06/14 (日) 16:58
もうちょっとユーモアを交えたほうがよかったかも
全体的に空疎な感じ
5:  微妙 2点 <BpjZklt7>  2015/06/13 (土) 01:27
そうしなさい。
なんか、数は多いんだけど、似たようなのばっかだなあ・・・
4:  最悪 0点 <AJ/aWss.>  2015/06/12 (金) 00:52
読んでいてゾッとした。

この作者が恐らくは狙ったこの主人公の気持ちの悪さは十分に表現できているのではないだろうか。

内輪ネタであることは本来はマイナスだが、この作品に限っては、「この人マジなんじゃない?病気でストーカー気質で。しかもリアルでそうなんじゃ……」と思わせることに一役買っている。(そして事実この人は異常者なのかもしれない)

病気で孤独な自己愛の強い人間はふとした異性の共感や理解を極大解釈して異様な執着を見せることはままあるが、そのことがいかにも現実にあった感触が気持ち悪く、そのことは面白かった。

ただ書き出しはあまりに陳腐で再考した方がよい。

また、最後に強がりのような数行があるが、この短さの分量の中でこのオチは正直浮いているのではないか?

未だ執着しているからこその強がりとしての「もういらない」というセリフなのか、本当に執着していないからこそのセリフなのか。

全体に「思いついたことを書いたはいいが息切れしました感」がかなり強く、作品を仕上げきる気力がなかった印象が拭えない。

その意味でメモ書きに留まってしまっているようにも感じる。

恐怖を感じたことをもって評価はするが、作者の粘り腰/気概のなさを感じてそこを差っ引き5点とした。
3:  普通 5点 <D2DXwlr9>  2015/06/08 (月) 22:31
キモイ
2:  最悪 0点 <B5vIpkhh>  2015/06/08 (月) 22:06
エッセイ風ユーモア短文、といった趣の作品。
そーいえば少し似たようなこともあったかな、と、現実の月子も
思うのでした(笑) ただ、フィクションとして面白味はありません。

>通っている作業所に美人が来たので乗り換えようと目論んでいる。だからもう月子はいらない。

もう、い、いらないのかよ!
この肩透かし感が一番面白かったです。
1:  普通 4点 <EFnYQteb>  2015/06/08 (月) 21:33
月子
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