終わらない月子 へのレス |
良い。
空想とエログロが交差する実況的なその文章にはこの作者自身の作家性が滲んでいる。
書かなくていいことを気が付けばつい書いてしまっている、そんな本人の意思を離れた自立した筆の運びを作家の味とするのなら、ここにはそれがある。
その味が人に合う合わないはまた別の話で、まずは「てめぇの味を出せているか」という点においてはこの作品には○がつく。
一方この味は単なる“手癖”のようにも見える。 言い換えればこの作者は自分が書ける、これまでも書いてきた世界の中に安住しているようにも思える。 つまり冒険がない。自分が書けるものと書けないものの境目はどこかを考えたような跡見えない。
この作品を書き終えた後と前とで作者に何か新しい学びはあったろうか? 恐らくないのではないか? (これまでのように)書き終えたという満足感しかないのではないか?
もちろんそれが悪いとは言わないが、しかし(作者の資質の伸長を思うと)それでいいの?とは聞きたくなる。
また、オチ近辺も含めて内輪受け臭がキツイ。 ふーん、自分と関わりのある人だけを視界にいれて書いてるのね、という気になる。 (まぁもともとそういう場所に私が勝手に来ているだけかもしれないが)
全体として意識されているだろう、自作自演/自己の虚構性などほの見えるテーマが広がりをもつ雰囲気があるだけに、わざわざ自分の資質をくだらない枠に収めて収縮させているような気がする。
本イキの作品は公募に出すだろうからここで読むことは決してできないだろうが、そちらの作品では広々とした気持ちで、しかし妄想にまみれ自分の味を存分に出していて欲しいと思う。
作者の匂いがある点を持って他の作品と差をつけ7点とした。
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満天の星、欠けた月 へのレス |
まず、ミュージシャンをユーチューバーに直す必要はない。
以下にその理由を書くが、まずは文章について気取った表現が少なくそこはいいと伝えておきたい。(ただ2行目などは少し見直した方が良い)
時々小説を書くとなると小説語とでもいうような、『私は深遠なる永遠の虚無の中で絢爛たる神々しさを感受した』といった“余所行き”の表現で埋め尽くす人がいるし、またそのような表現以外は小説でないと狭量で偏狭な小説観に毒されている読者もいる。
そんなものは“小説のようなモノ”の殻に自分から引きこもっているだけだ。 よほど自覚的にやれば別だが、そういうもの以外を小説と読めない人がいる。 はっきり言ってそんな人のエセ批評は無視すればいい。(コミュニケーションの成立しない信仰告白に付き合う必要はない) 素直にまずは自分の文章を追えばいい。書いて書いて書けばいい。
次に、ミュージシャンをユーチューバーに直す必要がないことを書く。
1の人と同じことを自分が言おうとしているかどうかわからないが、エピソードは凡庸でいい、刺激的でショッキングなエピソードにこだわり、それを追うと自家中毒的にどんどんと話が過激化の一途をたどるより他ない。
ユーチューバーのエピソードも凡庸と言われたらあなたは次、何を書くのか? 殺し屋か、性転換?
結局凡庸か否かのモノサシなど他人のものでしかない。
子どもと大人の凡庸は違う。 他人のモノサシに合わせて凡庸か否かをぐらつかせるとやがて行き着く先は過激さグランプリになるしかない。
エピソードの凡庸さに関わらず、『そのことがどれ程主人公にとって痛切なもの(リアルなもの)であったか』を描ければそれでいい。
例えば『転校』といった事件も大人にとっては凡庸なエピソードだが、6歳の子どもにとっては痛切な事件になりうる。
結局この小説の根本的な問題点は、『月子が小説を書こうと思った』ことの『説明』を過去のエピソードを羅列して行っているに過ぎない点にある。
例えば、月子が小説を書くと決意した後からこの話を始めたらどうなるだろう?
実際あなたは『月子のその先』をどのように小説を書きますか?
『月子はどんな小説を書くだろう?何を感じながら書くだろう?何を書こうとするだろう、シングルマザーで、傍らに愛する子どもがいる』
きっと最初に浮かんだ描きたいシーンとは異なるから上手く筆は進まないでしょう。けれど、その瞬間あなた自身の痛切さと月子の痛切が生まれ、そこに凡庸でないあなたの小説が生まれるのです。
本当の“小説”は自分が説明できる場面のその先を描く瞬間の、作者自身の頼りなさ、寄る辺なさにある(と私は思っている)。
それはユーチューバーでもミュージシャンでもどちらでもいい所で生まれるものではないのか?
文章表現の拙さから前二作と比較し、マイナス1点の5点とした。
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空の子 作者:もりそば某 へのレス |
やりたいこともわかるし、短い枚数のなかで印象的なシーンを表現しようとしていることも伝わる。
何よりこの助産師のもつ終始暖かな雰囲気がいい。くだらない両親のドタバタとした雰囲気も含めて、どこか作者は超然として暖かくこれを表現しようとしているように感じる。 そのポジティブな気持ちは個人的に好きだった。
(以下はかなり個人的な好みに近いので、「そういう人もいるんだぁ」と無視してもらって結構です)
一方、赤ん坊が両親の愛情をどこか深いところで感じ、終始穏やかに、笑うように描かれるのはいかがなものか、と感じる。
赤ん坊は今まさに生まれ、命として最も脆弱な瞬間にいるはずである。
にも関わらず、この赤ん坊はどこか超然として全てをわかったかのように両親に対し微笑みかける(ように助産師は感じているよう読める)。
どうしても『赤ん坊』という命を小説世界を表現する小道具として使っているように感じてしまう。
本当に赤ん坊は穏やかに微睡んでいたのか? 楽しそうだったから笑っていたのか?
先に全体を包む暖かい人間肯定の雰囲気があると書いたが、一方で、その肯定の雰囲気は本質的な部分でひどく他人を身勝手に都合のよく解釈しているから生まれている見せかけのもののようにも思えてくる。
結局この両親がなぜここまで自分優位の名づけにこだわるのかが見えないからかもしれない。
@ 両親が子供を思いその愛情のゆえに争っているのか? A 夫婦間の主導権争いの一環として子供の名づけを利用しているのか?
ここがわからなかったので、そう簡単に私は微笑むことができなかった。 もしAだったら、今後の赤ん坊の生活はかなり暗いもののように思えたからだ。
個人的には『突き殺す症候群』より間口の広さがあり好きだったが、祭り投稿一作目ボーナスはなく、6点とさせてもらった。
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月子ロス症候群 作者:ミラ へのレス |
いわゆるショートショートのアイデア一発ネタで、後はアイデアを読んだ人が気に入るかどうかの世界。
1の人も書いている通り、この手の小説に小難しいことを期待すべきではないし後は“はは”と読み手が笑ったかどうかだけが評価のポイント。
個人的には月子だの嫌いなコテだの、よくわからず全体に内輪受け臭がキツく笑うことはできなかった、というのが正直な感想。 (ただこれはテーマ設定者の責任が9割だろう。自分の名前をテーマにするなど少しは恥じらいというものを知っていておいて欲しいと新参者は思う)
まぁ、ネットの片隅の掌編に世界の広がりを求めるのも筋違い。 まずは最初に投稿をされた点も含めて、良い評価をしたいと思う。 ※基準点として6をつけます。
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満天の星、欠けた月 へのレス |
細かいところを直した。
ミュージシャンは知り合いの話だったのだけど、 インパクトがないようなので、今風に
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満天の星、欠けた月 へのレス |
直した。
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満天の星、欠けた月 へのレス |
2行目からいきなり誤字脱字は萎えてしまいますよ。 >薄暗い部屋のの中で〜 編集機能で直しましょう。 さて、本作は月子が上京して大学に入り、文芸に勤しみ公募に送るが芽が出ず、 田舎へ帰り、そのことを回想する、というあらましです。
>「ミュージシャンになりたい」 >ある日、夫がそんな事を笑顔で言い出して、会社を辞めてきた時は〜
エピソードが凡庸です。個人にとってはたいへんな話かもしれませんが、 一般的にはよくあるお話です。 その後、月子は実家へ帰るわけですが、文芸をあきらめきれない自分と、 現実の葛藤が上手く描かれていません。なのでどこか空々しい絵空事に 感じてしまいます。キーワードは「リアリティ」ということではないでしょうか。 夫と離婚し、田舎に帰らざるを得なかった女性のリアリティーに迫っていません。 酷評になってしまいましたが、題材はとてもいいんです。 その題材に迫る筆の力が欲しかったです。
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ウインキージャック 作者:オバゾノ へのレス |
皆さんどうもありがとうございました。とても為になりました。 頭に思い描いた事を整理し、物語として構築し、ちゃんと人に伝わる言葉する、どの行程にも油断と未熟が溢れていることを認識できました。
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空の子 作者:もりそば某 へのレス |
1は月子でしたっ
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空の子 作者:もりそば某 へのレス |
分娩室での夫婦のコミカルなやりとりから、赤ちゃんに「月子」という 名前をつけるまでのアフェアを楽しく描いた好篇でした。 ただ、助産婦である話者の語りが微妙にブレているのが気になりました。 つまり、今、誰の視点で語られているのかが混乱してしまうのです。 三人称か、夫の視点の方がすっきりすると思いました。 月を見て月子と名付けたのはわかりますが、そのあとに あと一捻り、ラストを飾るにふさわしいエピソードが欲しかったです。
それと、 >私の目の前で絶賛口論中の夫婦だ。 ↑ こういう言い方は2ちゃん用語??(笑) あまり使われないのではないでしょうか。
このユーモアは↓上手いと思いましたね。
>「私の方が先に思いついたんだからね!」 >「僕の方が、コンマ、ゼロイチ秒先だ!」
全体として、エピソードのパンチがもう少し欲しかったです。 文章はややたどたどしさが気になりました。
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